業界豆知識 〜サイン&ディスプレイの豆知識Vol.2〜    2018.AUGUST

プリプレス作業のほぼ全てがデスクトップ上で出来るようになって久しいですが、前時代(といっても20年前程)は手作業で版を作成していました。
アナログレタッチと呼ばれる職人技術です。その中でも極めつけなのが切り抜きではないでしょうか。

現在ではベジェ曲線を使って(これもなかなか技術のいる仕事ですが)比較的簡単に切り抜きができてしまいます。時間さえかければ経験値が浅くてもそこそこの出来上がりのものができるでしょう。
アナログレタッチの時代はこの作業をカッターでおこなってました!
経験値によりスピード、出来上がりが違ってくる職人技術でした。

切り抜き対象となるフィルムの上に赤コート(フィルムベースの上に赤い薄い半透明の膜が貼ってある)をのせて、透けて見える切抜き対象をコの字型のルーペでみながらカッターでマスク取りしていくのです。

マスク取りした部分のみの赤い膜を剥がせばマスク版の出来上がりです。このマスク版を付け合わせ版として、4Cそれぞれのネガ版を露光していくと、切り抜かれた画像がフィルムにポジ版として露光されるのです。
この作業、失敗が許されず1時間かけて切り抜いたのに最後の赤い膜を剥がすところで失敗して最初からやり直し!なんて事もザラにありました。
それが夜中作業だったりすると・・・悪夢です。

また、長い間切り抜きに没頭していると、終わった後に赤い残像でしばらく世界が赤くなるなんて事もありました。今では考えられないような作業ですよね。