業界豆知識 〜日本の製本の歴史〜    2017.NOVEMBER

製本の起源は、中国から伝承した『巻子本』といわれるものが、日本で始めての書物といわれている。
遠く奈良朝時代は、ほとんど巻子本様式のものであったとされている。

『巻子本』は、途中の一節や一部分を見たいときにも、全巻を広げなければならず、不便なものであったことから、次にはこれを巻かないで折りたたむようにした『折り本』が使われるようになりました。

しかし、この「折り本」も長く使っていると折り目が擦り切れてバラバラになってしまうという欠点がありました。

そして次に「和綴じ本」が作られました。

「和綴じ本」の起源は千年以上も遡り、平安時代の初め、空海が中国から招来した「三十帖策子」が、現存する最古のもの。

これは、二つ折りした本文をたばねて糊付けし、最後に表紙を糊で接着したもので、中国では胡蝶本と呼ばれているが、日本では、糸でかがらないことから粘葉装(でっちょうそう)と呼ばれていた。

これを発展させたのが『大和綴じ』で、糊を用いず糸でかがって、表紙の二ヶ所をひもで結ぶ形式です。

中国の宋から明の時代にかけて用いられた、袋綴じという形式の明朝綴じが鎌倉時代に伝わり、江戸時代に入って木版印刷による出版ブームが起こった時、江戸職人の技と粋が和装本に集約されて、様々な綴じ方が生み出されました。
代表的な『四つ目綴じ』の他、康煕(こうき)綴じ、亀甲綴じ、麻の葉綴じなどがあります。

1856 年徳川幕府の藩書調所に雇われたオランダ人より『洋式製本』が伝わる。
発祥地域により東洋の和漢装本と西洋の洋式装本。
用途により出版物製本と事務用品製本に。
生産量によって数物製本・図書館製本(諸製本)・創作製本(ルリユール)
に分類する。
様式によって上製本と並製本に分類できる。

そして明治時代初期、印刷局に雇用されたイギリス人(W.H.Peterson)が本格的な『洋式製本』を伝授したのが近代製本の始まり。

断截機、針金綴じ機が輸入され機械化が進み近代化への道が開け、洋式製本の量が増加し、製本業者の間から機械の国産化を望む声が高くなった。

やがて大正時代に入ると、製本機械の国産化が進み、専門メーカーも出現して、わが国の製本業界も近代製本へ大きく前進した。